エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展

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絵本についてみなさんはどういった印象を持っていますか?

子供が読むもの?子供向けのわかりやすいストーリー?ハッピーエンド?

これらは決して間違いではありませんが、それだけではないのが絵本の世界です。

 

意外と大人向けの絵本は世の中にたくさんあります。絵本という言葉で表すとかわいらしく感じますが、芸術性の高い作品がたくさんあります。

 

そんな絵本の中でも独特の世界観を持っているのがエドワード・ゴーリーの絵本です。

 

エドワード・ゴーリーとの出会い

僕がエドワード・ゴーリーを知ったのは偶然、本屋で「不幸な子供」を手に取ったのが始めです。絵本というジャンルであるものの表紙の画から感じるただならぬ雰囲気に思わず目が止まりました。そして中を読んだ僕には衝撃が走りました。本当にガツンとした衝撃です。

 

それはあまりに救われない話だったのです。
そう本当にとことん救われません。どう解釈すればいいか分からない。

消化しきれない何かが残るようにも思います。

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「不幸な子供」

ただそこで単に暗い気持ちになるのではなく、逆にエドワード・ゴーリーという人物に興味を持ちました。何故ここまで悲惨な絵本を書いたのか、何か意味があるのか。そして他の作品をみたいと思い、色々調べることにしました。

 

エドワード・ゴーリーについて

エドワード・ゴーリーはアメリカの絵本作家です。ゴーリーの絵本ではさきほど紹介した絵本以外にも死について描かれている作品が多くあります。またその死についても非常に残酷で、容赦ない話が多く、世界一残酷な絵本作家と呼ばれることもあるようです。これが大人向けの絵本と言われる所以です。(ちなみにすべてがそういった作品というわけではありません。)

 

芸術性の高いイラスト

ゴーリーが描く絵には独特の世界観があります。非常に細かな線を多く重ねて描き、多くの作品がモノトーンで描かれています。それが時に美しく、時には不気味で、時にはユーモアで観る人を魅了します。その作品は多くの芸術家にも影響を与えたようでムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンや映画監督のティム・バートンにも影響を与えたと言われています。

 

魅惑の言葉遊び

またゴーリーの絵本で用いられている言葉も非常にユーモアで彼自身のこだわりや遊び心が感じられます。例えば下に挙げる絵本は「華々しき鼻血」というものなんですが、タイトルだけでもインパクトがありますね。

絵本であるため言葉は少ないですが、その言葉一つ一つが何度も読み返したくなる魅力があります。

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「華々しき鼻血」

 
大の猫好き

ゴーリー自身も非常にミステリアスな人物だったようで、毛皮のロングコートにスニーカーといったスタイルで作品中にも同じような格好をした人物がよく登場します。
非常にバレエが好きだったようでバレエ公演には欠かさず通うほどだったみたいです。

また大の猫好きで何匹も一緒に生活していたこともそうです。またそれは作品にも表れていて、ゴーリーの作品で数々の悲惨な目にあう登場人物たちですが、唯一猫だけは悲惨な目に遭いません。このことから彼にとって猫は特別な存在だったということでしょうか。

 

猫に関する作品も紹介しておきます。

まずは「キャッテ ゴーリー」です。猫画集で言葉や台詞はありませんが、数々の作品の中では珍しく平和的な雰囲気の作品です。(とりあえず猫がかわいいです。何故かみんなボーダーを着ています。)

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キャッテゴーリー

 

次に「キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科」です。T・S・エリオットが書いたミュージカル「キャッツ」の原作にゴーリーが挿絵を描いています。ここからも猫愛が感じ取れますね、

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「キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科」

 

エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展

さてそんな一風変わったゴーリーの世界ですが、現在原画展が開催されています。

 

エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展 | 伊丹市立美術館

 

貴重なエドワード・ゴーリーの原画を観ることができます。原画以外にも関連書籍や資料などの貴重なコレクションが展示されています。原画展は20164月から開催されていて伊丹市立美術館から順次全国をまわっていくようです。僕も伊丹市立美術館のほうに遊びにいってきました。

 

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伊丹市立美術館初めて行きましたが、江戸時代に建てられた町家を外観に利用しているようで凄く雰囲気がいいです。

 

入り口には「うろんな客」に登場するキャラクターが出迎えてくれます。 

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階段にも!!

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小さいスペースではありましたが、エドワード・ゴーリーの絵本が読めるスペースもありました。

 

平日に行きましたので、人はそんなに多くなく、ゆっくり観ることができました。展示されている原画も非常に素晴らしいです。絵本に印刷されたものとは一つ一つの細かい線の力強さがまったく違います。そんな違いを楽しむのいいと思います。

 

興味を持った方は是非絵本を手に取ってみてください。おすすめです。

 

エドワード・ゴーリーの作品紹介

最後に何点か絵本を紹介します。

 

「うろんな客」

数々の作品の中で人気がある作品です。表紙に登場する不思議な生き物がとある一家にやってきて奇天烈な行動で家族を困惑させるといったお話です。この作品はめずらしく怖いや悲惨といったものはなく、絵も言葉も可笑しいものが多く、楽しめる作品です。

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「うろんな客」

うろんな客が履いているスニーカーはアレじゃないですか?

 

 

次は

「ウエスト・ウイング」

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「ウエスト・ウイング」


この本は怖いです。文章はなく、絵のみの本です。廃墟のような屋敷(幽霊屋敷?)の内部を描いています。壁のシミや窓に映る何か、開いたままのドアなど誰もが不安感を感じる要素を絶妙に描かれています。人の想像力をうまく利用していると思います。

 

 

最後は

「おぞましい二人」

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「おぞましい二人」

これはゴーリーの作品の中でも異質なものだと思います。

それはこの作品が実際の事件を題材にしたものだからだと思います。

1960年代にイギリスで実際に起きた残忍な事件をもとに描かれました。

 

あまりにも悲惨で残酷な内容から多くの非難をあびたようです。

ゴーリー作品の最初の一冊には向かないと思いますが、興味のある方は覚悟して読んでください。

 
最後に

癖のあるゴーリー作品です。ハマる人はハマると思います。ハマった方は原画展が是非おすすめです。素晴らしいイラストと言葉を楽しんでください。